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2011年3月10日

元気に生活するために、肝臓を知ろう

みなさんは、肝臓がどのような臓器か、ご存知でしょうか?

「休肝日」という言葉がある通り、
お酒を飲みすぎると負担をかける、ということは知られていますが、
一般には、それ以外はあまり知られていないようです。

肝臓は、重い病気になるまでは意識することが少なく、
心臓や肺などと違ってその働きをイメージしにくいのですが、
人の健康にとても大きな役割を担っていて、
病気ではない人も、その働きを大まかに知っておくことが、
自分の身体を知り、健康管理をするために大切だと思います。
今回は肝臓について、簡単にみていきましょう。

 *

肝臓は「人体の化学工場」といわれます。
肝臓では、実に様々な物質の処理と貯蔵が行われています。

肝臓の作用として、比較的イメージしやすいのが「解毒」です。
体内に入ってきた毒を、肝臓がまさに化学工場として、処理します。
ここでいう「毒」とは、身体にとって毒とみなされる物質全般です。
一般にいう毒物だけでなく、アルコールや薬剤、
他にも食物に混ざっている人工物等も、処理されます。

また、人体は活動すると老廃物が発生し、
これも毒素と同様、肝臓が排出のために処理します。

肝臓の解毒能力は個人差が大きいといわれており、諸説ありますが、
アルコールだと半日で3合とも言われます。
つまり、3合飲むと、肝臓が半日働き続けるというわけです。

(意外に、少ない量だと思いませんか?)

 *

次に、肝臓は、食事で採った栄養の
消化の手助け、変換(代謝)と貯蔵をしています。
身体が使いやすいように、あるいは貯蔵しやすいように、
栄養素を必要に応じて変換しています。

身体がいつ、どのくらいの材料やエネルギーを必要とするかは、
日々の活動によって違います。
運動すればたくさん必要ですし、長く起きていればそれだけ必要です。

人はリアルタイムに必要に応じて食べて消化できるわけではないので
当然、どこかに溜めて、必要に応じて供給する必要があります。
(運動量に合わせて同時に食べ続けていたりしませんよね?)

肝臓はそのための大きな役割を担っているので、
私たちが元気に活動したり、時に無理をしたり、
あるいは、身体が傷ついた時に治すための材料を供給したりと、
社会に適応し、能力を発揮したり、命を守るために、
必要不可欠な働きをしています。

 *

他にも肝臓の働きは様々で、全ては書ききれませんが、
ここからあと3つ、身体が環境に適応していくための働きをお話しします。

3つが全てではないと思いますが、
ここで取り上げたいのは「ホルモン」「血液」「体温」の3つです。

肝臓は、多くのホルモンの原料をつくり、不要なホルモンを処理(不活化)します。
各種のホルモンは、身体が置かれている状況に応じて、
それに対応できるように身体の機能を調節していますので、
肝臓はその下支えをしているといえるでしょう。

肝臓は、必要に応じて血液を蓄えたり放出したりします。
これも、運動しているか休んでいるか、
緊張しているかリラックスしているかで、必要な血液の量が異なるので、
環境に適応するために必要な作用です。

肝臓は、その化学処理の過程で、熱を生みだします。
これが、人の体温を支えています。
人の身体は一定の体温が無いと活動できませんし、
社会生活をしていると、環境の温度は変化するので、
これも大変重要な調整機能です。

 *

さて、これを丸暗記して役に立てる…必要は、
一般の方には無いのかもしれませんが、
肝臓が、人の活動と適応に、とても大きな役割を果たしているということは、
ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

重要なのは、肝臓の能力には、限りがあるということです。
解毒のところに書きましたが、
当然、解毒以外の処理能力にも限りがあります。

お酒を飲むにしても、お酒だけの負担ならまだしも、
同時に無理な生活をして老廃物を増やし、
栄養を取りすぎ(あるいは栄養が不足し)、
激しく運動をし(あるいは運動しなさすぎ)、
緊張した生活を送っている・・・
というような、多方面から肝臓を一斉攻撃するような生活は、
肝臓を痛めます。

肝臓は、元気に活動し、人がある程度無理をしても対応できるようにしています。
肝臓が弱ってくると、無理がきかなくなってきます。
老廃物の処理能力が落ちれば、
筋肉の柔軟性やダルさにも影響してくるでしょう。

また、肝臓が弱ってくると、環境に対応しきれなくなってくるため、
生活の変化、季節の変わり目、ストレス全般等に対して、
体調を維持しにくくなってくることでしょう。

身体の材料の生成と供給に関わっているわけですから、
身体を壊したときの回復力も落ちてきます。

肝臓は回復力が強い臓器ですが、個人差があり、限界があります。
一般的には長い負荷と加齢によって徐々に弱ってくるもので、
通常は痛くなるわけでも、わかりやすく症状に出るわけでもありません。

ですから、体調の変化、身体の声に耳を傾けて、
イメージすることが大切です。

お酒だけでなく、全般的な活動や生活が、
度を過ぎると肝臓の負担になること。
ですので、工夫して、負担のバランスを取ることが大切なこと。
心がけていただければと思います。

多くの仕事が年度末、季節の変わり目でもあります。
休めるときに、うまく休んで、乗り切っていきましょう。

 

[参考文献]
『生命維持機能の生理学』 昭和堂 2005
『生理学 第2版』 医歯薬出版 2003

【鈴木】

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